阿寒岳の伝説 〜魔神ニッネカムイの暴虐〜
むか〜し、昔、遥か昔。
雄阿寒岳(ピンネシリ)と雌阿寒岳(マッネシリ)は夫婦の山でしたが、雄阿寒岳には北見留辺蘂(るべし)の裏にあるポンヌプリ(アイヌ語で「小さい山」の意味)というお妾さんがいました。
あるとき、魔神のニッネカムイが現れて「山のくせにお妾さんがいるとは生意気だ!」と、持っていた槍で雄阿寒岳を突き刺し、ついでに何の罪もない雌阿寒岳の頭を突き飛ばしてしまいました。
その槍跡が雌阿寒岳の旧噴火口にあたるそうです。
そして、2つの山を痛めつけた魔神はつづいてポンヌプリをも突き飛ばそうとしましたが、その槍先が逸れて七曲に止まってしまい。、その槍跡は深い沢になりました。
この魔神の暴虐を恐れたポンヌプリは留辺蘂から逃げ出して、屈斜路湖畔に移ってしまいました。それが今のどの山にあたるかはわからないままですが、その山の一方からは赤い水が流れて出ているといいます。これは山の涙だそうです。
そして、ポンヌプリのあったところは現在、沼になっているそうです。
こうした事があって以来、阿寒の人が屈斜路湖上に出ると必ず、にわか雨が降ると伝えられています。